【読書記録】「まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」

投資本
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概要

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」ナシーム・ニコラス・タレブ著を読みました。

原文タイトルは”Fooled by randomness”です。著者のタレブさんはトレーダーでありながら、不確実性の問題に取り組む大学教授です。本のタイトルにもありますが、投資による成功は運によるところが大きく、自分の実力を過大評価している人が多いとタレブさんは主張しております。

数学的な視点だけではなく、脳科学、哲学を持ち出して主張していることもあり、多岐にわたる視点から、「運」というものを説明しています。

この本自体は株式投資の技術に直接関係しないと思いますが、投資家の心情は強く描かれていると思いました。

印象に残った文章

中ぐらいの成功は能力と努力で証明できる。とても大きな成功は、むしろ不確実性な結果のばらつきが原因だ。

不確実性(ランダム性)の環境に身をおけば、大きく成功することもあるし、大きく失敗することもあるという解釈をしております。この文章の例として、

  • トレーダー=不確実性が高い職
  • 歯医者=不確実性が少ない職

としております。

歯医者として働けば、将来に渡って安定した収入を得られることが見込めるが、トレーダーの場合はそうではないということです。ただし、一部のトレーダーは莫大な成功を収める可能性があり、歯医者はそのようなことがあり得ないということです。

また大きく成功したことはその人に能力があったというよりも、その人がとっているリスクに対して、たまたま運が味方したにすぎないということですね。

偶然に気を取られ過ぎた人たちが、何度も苦しんだ挙句、精神的に疲れてしまって燃え尽きるのもなぜかもわかる。何と言おうと、苦しみは喜びで相殺できない。

一部の心理学者によると、平均的な損失で人が感じる苦しみは、同じだけの利益で人が感じる喜びの2.5倍の衝撃力を持つ。」と記載がありました。

人は損失に対しては、過剰に反応してしまいます。

個人的な経験ですが、1万ドルの利益を出した後に、5千ドルを出したときに、収支ではまだ5千ドルのプラスですが、精神的には失ってしまった(幻の)5千ドルがどうしても気になってしまいます。そしてその幻の5千ドルを取り戻そうと、少し無理のある(リスクの高い)トレードをしてしまいたくなります。

株式投資で資産形成をするうえで資産額が上下することは、避けようのないことですので、日々の資産額の上下に対しては、あまり気にしないようにしたいのですが、人間の脳はそのようにできていないということです、、

哲学者のパスカルは、人間にとって最適な戦略は神の存在を信じることだと言った。神が存在するのなら、信じる者は救われる。神が存在しなくても信じる者は何も失わない。同じように私たちは知識の非対称性を受け入れる必要がある。

私たちが生活していく上で、リスクやランダム性を排除することは実際的には不可能です。投資の際も、リスクを0にすることはできないですが、だからと言って投資を全く行わないという結論にはならないのではないかと思います。ただし、損失ラインの設定すること(一定の損失を出せば撤退すること)を著者は推奨しております。

「不確実性のなかに思い切って飛び込む、そして雲行きが怪しくなったら損失が拡大する前に撤退する」理屈では分かっていますが、実際に行動することは難しいですね、、

私たちの脳は非線形性を扱うようにはできていない

この文章には続きがあります。

例えば、2つの変数の間に因果関係がある場合、人は原因のほうの変数が安定していれば、結果のほうの変数も必ず安定しているものだと思う。例えば、毎日勉強していればそれに比例して何かが身についていると思う。進んだ気がしないとやる気がでない。でも、現実は厳しく、線形で正の進歩なんてめったにない。1年間勉強してもなんにも身につかないけれど、結果がでないことにうんざりして止めたりしなければ、ある日突然何かが訪れるのだ。私のパートナーであるマルク・シュピッツナーゲルはそれをこう表現する。長い間ピアノを毎日練習しているとしよう。それでも「チョップスティック」がやっと弾けるぐらいだ。それが突然、ラフマニノフが弾けるようになっているのに気づく。

この本の中で一番好きな文章です。株式投資(特に長期目線)をうまく表している表現だと思います。素晴らしい企業に投資したからと言ってすぐに結果が出るわけではなく、ある日突然目覚めたかのように突然株価が上がりだす瞬間があります。株価も企業の業績に合わせて真っ直ぐ線形に上がっていくわけではなく、火を噴いたように非線形に上がっていくことがありますね。その企業がついに認められたのかと、とてもうれしい気持ちになります。

資産形成においても地味で面倒な時間や作業が大半だとは思いますが、結果を焦らずにいつかやってくるうれしい瞬間のために自分ができることを積み上げていきたいなと改めて感じました。

終わりに

この本は今まで読んできた投資関係の本の中でも、非常に読むのに時間がかかりました。そもそも内容自体が投資にはほとんど関係なく、数学、心理学、哲学等の観点から考察された内容となっております。

また投資だけではなく、普段の生活においても偶然に頼る部分は大きいと思うので、偶然とうまく付き合っていくことを日ごろから考えていく必要があると思いました。

以上!

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